読書

希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 池田信夫 著

・希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 池田信夫 著 希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学作者: 池田信夫出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/10/09メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 492回この商品を含むブログ (52件) を見るさて池田信夫氏…

「空気の構造」 池田信夫 著

「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか作者: 池田信夫出版社/メーカー: 白水社発売日: 2013/05/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る少し前に「KY」という言葉が社会現象になるまで流行ったことがありました。これは「空気が読めて…

再読「現代思想入門」

現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!作者: 藤本一勇,清家竜介,北田暁大,毛利嘉孝,仲正昌樹出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2007/01/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 16人 クリック: 168回この商品を含むブログ (55件) …

自由とは何か 「自己責任論」から「理由なき殺人まで」  佐伯啓思

自由という言葉には様々な派生があることを前回お話しました。自由のなかでも特にリバタリアニズムという思想を取り上げて説明し、リバタリアニズムは制限を加えようとするあらゆる存在に対して個人の優先を主張するものでした。しかし本書「自由とは何か」…

法哲学 Philosophy of Law  レイモンド・ワックス  訳 中山竜一・橋本祐子・松島裕一  解説 中山竜一

法哲学も美術史と同じく以前から興味があったものの忙しい(あるいは寄り道していて;)ので手を付けていなかった分野です。今まで読んできた本の中にも本書で登場する人物がたくさんいて、なるほどこういう流れがあったからこそあそこで登場してきたのだな…

美術史 Art History  ダナ・アーノルド  訳・解説 鈴木杜幾子

これまで美術史にはずっと関心を持っていながらも今まで関連した書物を読まず、たまに絵画の本を図書館から借りてくる(美術本は高すぎる!)ぐらいで放置して来ました。理由はいくつかあるのですがそんなことを言っていてはキリがありません。本書は美術史…

歴史 History  ジョン・H・アーノルド  新広記 訳  福井憲彦 解説

ところで以前より公言していますが、僕の本業というか本来の分野は歴史です。何度か歴史についての本を書評して来ましたが、おおむねアクセス数がよく、中でも「歴史とは何か E.H.カー」がよく読まれているようです。今回はその名もズバリ「歴史」というタイ…

独立国家のつくりかた  坂口恭平   ソーシャル・キャピタル入門  稲葉陽二

さて、今回も2つの本をご紹介していこうと思います。なぜ最近この方法で本を紹介するのかというと、紹介する2つの本がお互いに対立しているか、または補完し合っているかどうかを読むことで1冊の本だけでは見えてこない解釈の多様性があるように感じるか…

嗤う日本の「ナショナリズム」  北田暁大  動物化するポストモダン  東浩紀

今回ブログで取り上げる本は北田暁大氏の「嗤う日本の「ナショナリズム」」と東浩紀氏の「動物化するポストモダン」です。両書とも日本の2000年代に生きる若者・社会・文化を先どった分析をしていて、今から読みなおしてもなるほどと思う箇所が散りばめられ…

砂糖の世界史  川北稔

みなさんは甘いお菓子が好きですか?ぼくはあまり好きな方ではありませんが、それでも日常甘いお菓子はよく食べます。ましてや甘いもの大好きな方はトンデモなく召し上がってしまい、思わずカロリーを気にしてしまう人もきっと多いでしょう。しかしこんなに…

共産党宣言  マルクス エンゲルス共著  大内兵衛 向坂逸郎 訳

”ヨーロッパに幽霊が出る-----共産主義という幽霊である”。この衝撃的な一文から始まる本書「共産党宣言」は出版された1848年から20世紀の終わりまで政治や思想に強い影響力をもった1冊でした。アメリカ独立戦争とフランス革命とナポレオンの登場はヨ…

だいたいでいいじゃない  吉本隆明  大塚英志

だいたいでいいじゃない。そのタイトルに故吉本隆明氏と大塚英志氏が対談するとどうなるのかが気になって本書を手に取りました。まず本書は1997年から2000年まで4回に渡って対談した記録であり、対談も最初はエヴァンゲリオンを見た吉本氏の話を聞きながら大…

クローチェ 1866−1952  倉科岳志 と ブルクハルトとヨーロッパ像  W(ヴェルナー).ケーギ  坂井直芳 訳

さて今回は以前から言っていたふたりの人物についての歴史観や思想、そして哲学についてどのようなセンスを持ち合わせていたかについての論文を少々書いていきます。当初はブルクハルトもクローチェも別々に書評しようと考えていましたが、読み終わったあと…

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義  ティナ・シーリグ  高遠裕子 訳

今回はNHKの白熱教室で有名になったスタンフォード大学での授業を受け持った、ティナ・シーリグの「20歳のときに知っておきたかったこと」です。本書をただの自己啓発本と侮るなかれ。この本は個性的といわれている人よりも、むしろ普通の日本人といわれて…

実験大好き!化学はおもしろい  盛口襄

「実験大好き!化学はおもしろい」と著者が心から信じていることを本の端々に感じるのが今回紹介するこの本です。ストーリーは高校生になって難しくなった化学について訪ねてくるふたりと、高校の教師をしていた化学マニアの理科おじさんが実験を通じて化学…

マンガ量子論入門  J・P・マッケボイ  治部眞理 訳

量子論とは、人類史上最も成功を収めた知の集大成である。元素の周期表だけでなく、化学反応がなぜ起こるのか、レーザーやマイクロチップ(半導体集積回路)の動作、DNAの安定性、アルファ粒子がいかに原子核の中から抜け出すかまでも、量子論は正確に教えて…

マンガ脳科学入門  アングス・ゲラトゥリ  小林司 訳

脳が人間にとってすごく大事な機能を占めていることは現代ではほとんどの人が知る事実ですが、実は最近までその重要性が認識されていませんでした。現代は反対に脳についての研究が神話になって世間に流れ、どこまでが真実がわからない状態にまでなっていま…

マンガ心理学入門  ナイジェル・C・ベンソン  清水佳苗/大前泰彦 訳   マンガサイコセラピー入門  ナイジェル・C・ベンソン  清水佳苗/大前泰彦 訳  小林司 監訳

今回は心理学とサイコセラピーの入門書というこのブログではあまり取り上げなかった分野を紹介します。著者も訳者もほとんど同じであり、また同じ心理学の分野について言及しているように見えますが、実はお互いに補強し合うような内容になっているのです。 …

「人間はどこまで動物か」  日高敏隆   「進化とはなんだろうか」  長谷川眞理子   「医療のこと、もっと知ってほしい」  山岡淳一郎

今回は3冊まとめて書評したいと思います。生物と人間の狭間とは何かを考えさせられる2冊と、さらに人間を助ける医療とはどういうものかを教えてくれる1冊です。どれもとても興味深くそれぞれ独立した書評でもいいかと考えましたが、むしろ3冊同時紹介するこ…

英語達人列伝  斉藤兆史

現代日本には英語が出来る人とできない人とではなにやら見えない線で境界ができていると感じませんでしょうか?英語が喋れたり読めたりする人と英語がまったくできない人との間にはなんだか明らかに気まずい領域がある上に、英語が出来る人が得意げにペラペ…

物語アメリカの歴史―超大国の行方  猿谷要

様々な国や地域の歴史についてはいろんな出版社から販売されている新書でもよく見かけます。その中でもこの中公新書では国や地域の歴史を「物語」として出版しているところに特色があり、内容は歴史を網羅するような書き方ではなくあくまでもポイントを抑え…

大杉栄 自由への疾走  鎌田慧

大杉栄は明治の終わりから大正期に日本で暴れまわった社会主義者、もしくはアナーキストとして有名な人物です。大杉は1885年(明治18年)に生まれ1923年(大正12年)に38歳で殺されるまで、その人生はまさしくどこまでも己の自由を求めて奔走し、また「紊乱…

さらば財務省!  高橋洋一

この「さらば財務省!」は大蔵省、その後財務省で勤務していた高橋洋一氏が郵政民営化改革の裏話や、元安倍政権時でどのように財務省に改革をつぶされたかについておもいっきりぶちまけた暴露本です。現在高橋氏は経済学者として有名な人物ですが、最近の言…

「ヨーロッパ思想入門」  岩田康夫 著  「歴史を動かした発明」  平田寛 編著  「アインシュタインが考えたこと」  佐藤文隆 著

今回はまとめて岩波ジュニア新書を3冊書評します。それほど詳しいことは書きませんが参考程度にどうぞ。 「ヨーロッパ思想入門」 その名の通りヨーロッパの思想について簡潔に書かれているのだが、本書の半分以上はギリシャ思想とヘブライ信仰について書かれ…

地ひらく  福田和也 著

石原莞爾。現代では彼は危険な事件を起こした軍人だったとか、名前だけ知っているとか、それ以前に名前すら知らない方も多いでしょう。しかし彼は太平洋戦争前の日本にとってひとつの方向を決めるのに影響力を与えた人間であり、現代でも彼の行動が理解され…

ノモンハンの夏  半藤一利

前回からの流れで、同じ著作者である半藤一利氏の「ノモンハンの夏」についての書評していきたいと思います。本書は必ずしもノモンハン事変での戦場を中心に描いていくわけではなく、当時の国際情勢から日本帝国陸軍の動きなどをくわえた多角的な見方でノモ…

あの戦争と日本人  半藤一利

作家半藤一利氏といえば、数多くの歴史本やノンフィクションを書くことで有名な方です。特に太平洋戦争や昭和史について記した著作が多く、今回はその中から「あの戦争と日本人」を取り上げ、次回に同じく半藤一利著の「ノモンハンの夏」について書評するつ…

夢と夢解釈  ジークムント・フロイト 著  金森誠也 訳

さて今回僕はフロイト思想の入門として本書「夢と夢解釈」を読んでみました。フロイトはあまりに有名な心理学者であり、多くの人が名前ぐらいは聞いたことあると答えることでしょう。しかし実際にフロイトの考えたことを知っている人はどれだけになるでしょ…

方法序説  デカルト 著  谷川多佳子 訳

お久しぶりです。8月中はなんとなく本を読む気が起こらずにアニメーションやマンガを中心に見ていて読んだ本の数が少ないですが、今回から溜まっていた本の書評を再開していきます。 しかしまたブログを書くことがとぎれとぎれになったりすると思いますが、…

大森荘蔵 哲学の見本  野矢茂樹

本書「大森荘蔵 哲学の見本」は、東京大学で哲学を教えていた哲学者である大森荘蔵氏の思想について紹介したものです。しかしただ単純に思想を紹介するだけでなく、著者の野矢茂樹氏の批評や、前期・中期・後期と区別される大森哲学の一貫性を説いていたりす…