社会

独立国家のつくりかた  坂口恭平   ソーシャル・キャピタル入門  稲葉陽二

さて、今回も2つの本をご紹介していこうと思います。なぜ最近この方法で本を紹介するのかというと、紹介する2つの本がお互いに対立しているか、または補完し合っているかどうかを読むことで1冊の本だけでは見えてこない解釈の多様性があるように感じるか…

嗤う日本の「ナショナリズム」  北田暁大  動物化するポストモダン  東浩紀

今回ブログで取り上げる本は北田暁大氏の「嗤う日本の「ナショナリズム」」と東浩紀氏の「動物化するポストモダン」です。両書とも日本の2000年代に生きる若者・社会・文化を先どった分析をしていて、今から読みなおしてもなるほどと思う箇所が散りばめられ…

255書評-14歳からの社会学  宮台真司

宮台真司氏は独自の理論を持つ社会学者であり、様々な物議を醸しだすことで有名ですが、その宮台氏が14歳という繊細な時期を迎えた青少年に向けた本がこの「14歳からの社会学」です。本書は1年半ぐらいに読んだものの当時調子が悪く読書記録をつけてな…

255書評-自由からの逃走 エーリッヒ・フロム 日高六郎 訳

前回の書評まではハイエクに関連した人物や本人の本を紹介しましたが、今回はフロイト派の学者でありながらもフロイトを批判して派閥を抜けだし、フロイトの影響を受けた独自の心理学で社会の分析をしたエーリッヒ・フロムによって1941年に書かれた「自…

「ニート」って言うな! 本田由紀 内藤朝雄 後藤和智

本書こと[「ニート」って言うな!]は実はすでに二年前に読んでいて、「ニート」を取りまく問題について何かしら語ろうとして挫折していたのですが、この挫折が今までも僕を縛り付けていると感じていたので、今回再読することで僕の「ニート」問題にある程度…

高度経済成長は復活できる  増田悦佐

今回紹介するのは「高度経済成長は復活できる」という刺激的なタイトルがついた本です。主な内容は高度経済成長を日本はなぜ達成できたのかというよりもどうして高度経済成長は終わってしまったのかに重点がおかれていて、高度経済成長を止めた原因とそれを…

安心社会から信頼社会へ  山岸俊男

最近「安心」や「安全」が日本からなくなってきているという意見を耳にしたり、そういう雰囲気を感じている方がいらっしゃると思います。特にテレビなどで大々的に犯罪が報じられると社会が悪くなっていると不安になる方も多いかもしれませんが、実際には少…

日本人とユダヤ人  イザヤ・ベンダサン

今回紹介する本はもしかするとかなり特殊な一冊かもしれません。なぜなら本書はかつて物議をかもしたことで有名で、日本人とユダヤ人の文化と特徴を比較してお互いに反対の特性をもった民族だというのが著者であるイザヤ・ベンダサン氏の主張なのですが、こ…

ヒューマニティーズ 教育学  広田照幸

今回は前回に引き続き、広田氏の書いた教育書を読んでみました。本書はいわゆる教育の「学術書」ではありますが、とてもわかりやすく構成しています。 どれぐらいかというと教育学「入門書」の「入門書」と言っていいでしょう。この手の「入門書」て実は書く…

日本人のしつけは衰退したか  広田照幸

みなさんはどのような「教育」や「しつけ」をされて育ちましたか?あるいは今成長期の子どもを持つお父さんとお母さんはどんな「教育」や「しつけ」を考えていますか。現代社会ではこの「教育」と「しつけ」は複雑に絡み合っていて、どのようことを子どもに…

タテ社会の人間関係  中根千枝

あなたはタテ社会という言葉に対して、どのような感覚を持ちますか?会社や学校での先輩・後輩関係、上司と部下、地方を国など上下関係の日本社会などを想像するのが普通でしょう。本書はそれらについても言及しているのですが、そういう上下関係以上の抽象…

ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える 山森亮

約2年前に書いた文章を晒すというのはどうにも気恥ずかしいですが、それでもこの文章は読まれる価値があるのではないかと思い公開します。今現在の僕はベーシックインカムの思想はここで書かれているより多少違う意見をもっていて、ここでの文章の熱さを失…

狂気と犯罪  芹沢一也

「狂人」・・・この言葉には人を不安にさせる何かを感じます。その「狂人」が起こす犯罪はしばしばセンセーショナルに取り上げられ、社会問題になります。しかし本当に「狂人」だけが犯罪を犯し、また彼らを隔離することが社会にとって良いことなのでしょう…

希望のニート 現場からのメッセージ 二神能基

次はこの「希望のニート 現場からのメッセージ」を紹介していきたい。前回紹介した「ニート フリーターでもなく失業者でもなく」から約1年後に出版されたこの本は、同じニートを扱っていても内容はかなりちがう。「ニート フリーターでもなく失業者でもなく…

フリーターとニート 小杉礼子 編

ニート・フリーターが日本社会のボトルネックとして扱われはじめて久しい。本書「フリーターとニート」は、著者たちが寄稿した労働研究に関する論文を集めてひとつの本にまとめた論文集で、本書ではさまざまなデーター、調査をもとに彼らの姿を浮き彫りにし…

ニート フリーターでもなく失業者でもなく 玄田有史 曲沼美恵

「ニート フリーターでもなく失業者でもなく」は、ニートやニート論を語る上でとても重要な書物だ。なぜなら、それまで学術論文や研究機関の報告書などでしか使われなかった用語である「NEET」を、本書が意味を拡大して使用し、ベストセラーになったからだ。…

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか ---アウトサイダーの時代 城繁幸

本書は、前回紹介した「若者はなぜ3年で辞めるのか?」の続編にあたる。著者の城氏は、なぜ若者はすぐに辞めてしまうのかを、今の会社体制と社会構造からみごとに説明した。実際に年功序列や、あらかじめしかれていたレールからはずれた人や、もともとはず…

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 城繁幸

最近の若者は根性がない、やる気がない、もっとしっかりしろ。私たちの世代は、こんな罵倒とも、激励ともいえる言葉をよくかけられる。たしかに私なんぞは、よくクダラナイことを考えたり、クヨクヨしたり、ダラけている。だけど、私たちの世代が以前の世代…