3年で辞めた若者はどこへ行ったのか ---アウトサイダーの時代 城繁幸

本書は、前回紹介した「若者はなぜ3年で辞めるのか?」の続編にあたる。著者の城氏は、なぜ若者はすぐに辞めてしまうのかを、今の会社体制と社会構造からみごとに説明した。実際に年功序列や、あらかじめしかれていたレールからはずれた人や、もともとはずれていた人はどのような仕事をして生きているのか。今作では、彼らへのインタビュー通してさまざまな道筋を示している。


本書はおおまかに3章に別れている。アウトサイダー的生き方をしている方たちへのインタビューは、さいしょの2章でほとんど終わる。第1章はキャリア編で、ある程度高学歴な方がそれまでの仕事に失望し、新たなキャリアを模索している様子をインタビューしている。第2章は独立編で、高学歴、公務員、ニートなど、さまざなな背景をもつ人たちが、それぞれ独自の生き方をしている姿を描写している。


キャリア編で登場する人物たちは、すでに高学歴で大企業に入社したけれども、仕事の内容やこれからのキャリアに疑問をもち、自らの力で新しいキャリアを切りひらいている。
たとえばある人は、大手流通グループに就職したものの、たいして給料もあがらない上に、上司から与えられた仕事をもくもくをこなすことだけを求められた。これに馴染めず、会社を退職したあと外資系生保に入った。仕事はメチャメチャ大変だけど、将来の夢があるぶん今の方がいいと言う。
さらに別の人は某大手新聞社に入社しながらも、出世に興味はなく、文化部で書評を書く仕事をしている。


さらに女性の場合は、日本の企業ではあまり出世は望めない。行き詰まりを感じた彼女たちは、一度人生をリセットするために海外留学を希望する例が多いそうだ。


独立編はホントに多種多様な人たちが登場する。一度大企業に就職したものの、フットボールの夢をすてきれずにNFLを目指した人。東大卒業後に仏門へ入った人。ある企業の海外部門に所属してたのだけど、バーテンダーになった人。一介のフリーターたちが文芸誌のような雑誌を発行する。公務員をやめて、公務員の再就職を支援する企業を立ち上げる人。さらにひきこもりを支援するNPOで働く人。


こうやってすこし書き出すだけでも、こんなに生き方がある。そしてここでは描かれてはいないけど、もっといろいろな人たちがいる。人生ってなにが起こるかわからない。いま出来そうなら出来ることをして、なにも出来ないならなにもしなくていいんじゃないか。もうすこし気楽にかまえてやっていこう・・・と本しか読んでいないニートは語るw