255書評-ハイエク 知識社会の自由主義  池田信夫

今回もハイエクつながりで読んだ本を紹介します。この本を読んだ当時池田信夫ブログを必死に読み込んでいて、ハイエクの自由というものがどれほどの射程を持っているのかに興味津々でした。今でもハイエクは読み切れていない感がありますが、多少自分の腑に落ちる感も出てきました。


当時の読書メーターでのコメント 2009-11-04
作者のブログの内容をまとめて本にしたもの。池田信夫ハイエクを通しての経済学へのアプローチは、現代日本にはびこる単純な市場原理主義批判を超える。市場には確かに欠陥も多いが、現代の経済には必要不可欠なものだ。


■コメント
単純なコメントですが、こんなことしか書けなかったのは今ほど知識がなかったせいです。現在パラパラと読み返してみると池田氏の経済感の基礎がどのようにハイエクを中心としているかがわかってきます。当時僕は「自生的秩序」、「自由主義」、「市場による取引」、「自律分散」などが頭にあって、今から思うともっと具体的に考えられることもちょっと単純すぎだなと思う次第です。
例えば「不確実性」というテーマははるか昔から遡ることができますし、「伝統」の意味ももっと古く遡れます*1。さらに最近ではちゃんとミルトン・フリードマンの「資本主義と自由」とそれに対になるようなデーヴィッド・ハーヴェイの「新自由主義」もきっちりと読んでおくべきだとも考えてます。最近経済学や思想から離れているのですが、いずれこちらも書評していきます。


ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)


資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)


新自由主義―その歴史的展開と現在

新自由主義―その歴史的展開と現在


ハイエク 知識社会の自由主義」 目次
1:帝国末期のウィーン
2:ハイエクケインズ
3:社会主義との闘い
4:自律分散の思想
5:合理主義への反逆
6:自由主義の経済政策
7:自生的秩序の進化
8:自由な社会のルール
9:21世紀のハイエク
おわりに

*1:主にイギリスや西洋の「伝統」であり、日本には違う「伝統」がある