2012年3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:41冊
読んだページ数:13459ページ
ナイス数:45ナイス

チビ猫である時間はほんのわずかであっという間に通りすぎていき、その間にいろんなことをいっぱい知って少しずつ大人の猫になる。そのわずかの時間にどんな体験をして、どんなことを想像したかで自分がなる大人が決まってくる。人間の子どももこのように様々な出来事からいろんなことを想像しているのだ。チビの体験している世界は、どこか郷愁とせつなさを僕に与えてくれる。
読了日:03月31日 著者:大島 弓子

非人だけでなく、百姓も武士もすこし運命の歯車が変われば即、死がまっているという過酷な現実にカムイも竜之介も庄助も抜け忍の赤目も立ち向かう。その先に待っているのは果たしてどのような未来なのだろうか。
読了日:03月31日 著者:白土 三平

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

人間が何人か集まった場所でどこからともなく起る有無を言わせぬ雰囲気にわれわれ日本人はよく直面する。しかもそれは一見全員が同意したようにみえるが、それは反対している人たちが黙っているだけなのだ。どうやらわれわれは「空気」という観念の下で社会生活をおくっているようだ。感情移入の絶対化が臨在感的な把握という「物神化とその支配」の基礎になっている。いいかえれば絶対的対象が、感情しだいで時々変わるということだ。この「空気」に対して「水を差す=通常性」ことが消化酵素になるという。水を差すことで通常の状態に戻る。
読了日:03月29日 著者:山本 七平

遊学〈2〉 (中公文庫)

遊学〈2〉 (中公文庫)

あれからさらに一冊強のノートを出して、ようやく読むことができた。「遊学」を全体としてみると茫洋とした雰囲気が紙面に漂っていて、内容の濃さと次々に編集するセイゴオ先生独特のリズムを存分に楽しむことができるだろう。しかしセイゴオ先生が書くひとりひとりを見ていくと、「遊学」の姿が変わってみえるのだ。そう、プリズムに反射する光のように。実はその茫洋とした中にも、本流とも言うべき筋が貫かれているのだ。それは「存在・存在学(ontology)」だ。すべての項目に関わっているわけではないけれど、「存在」は重要なテーマだ
読了日:03月26日 著者:松岡 正剛

娘の頃の恋愛から、大人になったあとの恋愛まで刻まれている濃厚な人生の記録。男と女の性と愛のはざまで悩みつつ翻弄される人生は、ひどいとみるべきかかわいそうとみるか、それともうたかたの夢とみるべきか・・・。この恋愛話の前では、その辺の恋バナなんて消し飛んでしまう。今のところ人生で読んだ恋愛話中でナンバーワン。原作に挑むかどうか迷う。
読了日:03月23日 著者:いがらし ゆみこ

家出のすすめ (角川文庫)

家出のすすめ (角川文庫)

「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自立のすすめ」の4章からできているエッセイ集。書いている内容は完全に常識の反対で、その分普段私たちが押さえ込んでいる隠れた欲望や感情を大胆に見せつける。「受けとる者がどうとろうと、他者を意識せずに書く歓びだけに没頭できる、純粋に反文学的な記録が落書であり、それを、日記などという保存品にではなく、群衆の糞のたまり場に排泄してくれるところに、落書のおもしろさがあるのです。」これって2ちゃんねるの先取りですよね?
読了日:03月20日 著者:寺山 修司

今昔物語(下)―マンガ日本の古典 (9) 中公文庫

今昔物語(下)―マンガ日本の古典 (9) 中公文庫

下巻は上巻と内容はそれほど変わらないが、こういうショート・ショート話はいくら聞いても飽きない。陰陽師で有名な安倍晴明がでてくるが、彼ってホントはどれほどすごかったんだろうか。このマンガを読んでいる限りは、かなり政治的な配慮のできそうな人という印象が残る。
読了日:03月19日 著者:水木 しげる

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

今昔物語は12世紀前半に成立したを考えられ、31巻1040話という日本最大の説話集。天竺、震旦、本朝から成り立っていて、震旦、本朝はそれぞれ仏法、世俗などに分類されている。妖怪話やトンデモない色情な話まであって、昔にも、とある事件や出来事に尾ヒレがついたりしたんだろうなぁと想像するのが楽しい。「赤鼻の僧」が芥川龍之介の「鼻」の原作だったのを知った。
読了日:03月19日 著者:水木 しげる

今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

ヒロマツ語入門とマルクスを理解する取っかかりを作るために読書。「物象化」など特殊用語への理解が難しいのは、マルクスが言葉の定義をはっきりさせずに使っていたからでしょう。そういう哲学論議の苦しさを超えていくと、ヒロマツ先生からみたマルクスの姿がかなりはっきりと見えてくる。僕としては唯物史観が自然の変化を土台にした生産ー再生産の関係そのものだったことに興味を抱く。賃労働制度の止揚と自立者社会が実現して、共産主義者社会が成立したらこれほどすばらしいことはない。しかしそれは大変キビシイですよ、ヒロマツ先生。
読了日:03月18日 著者:廣松 渉

ボクはこんなことを考えている (角川文庫)

ボクはこんなことを考えている (角川文庫)

初のオーケン体験。大槻ケンヂってこんなこと考えていたのね・・・と納得した。なんというか物凄く正直に自分の心の内をさらしつつも、論理はしっかりしていて、文章も読みやすい。そこに自分自身が体験したことと、その体験はどういうものかと分析していて、ちょっと一筋縄ではいかないところがある。全体としてはたしかにほのぼのしてるが、詳細を見ていくと見逃せないポイントはたくさんあって、例えば「映画」、「追っかけ少女」、「親」、「オカルト」などから見ると、オーケンが言っていることってなかなか言えないよね。
読了日:03月15日 著者:大槻 ケンヂ

戦後の思想空間 (ちくま新書)

戦後の思想空間 (ちくま新書)

「戦後の思想空間」というよりも、戦前からの思想状態から戦後・後に続く一連の流れを大澤真幸視点であぶり出した本といっていいかも。60年史観といえる発想はおもしろく、なるほどそういうふうに見ることもできるのかと感心できると思う。全体としての論理は甘いし、かなり踏み込み過ぎたところも大澤真幸的な良さとして受けてとれるだろう。しかしこれが講演された日が1997年ということを考えると、今日はどんな時代と考えればいいのだろう。今は戦後と考えるべきなのか、それとも戦中と考えるべきなのか。
読了日:03月14日 著者:大澤 真幸

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

世界史や中国から見ると、日本は常に辺境だ。そこに住む辺境人は、常にまわりをキョロキョロしつつ物事を相対化しながら生活している。そしてまわりと場所に合わせながら自分のアイデンティティを確保しているという。しかし、辺境人は「学び」の効率がいいというのはちょっと納得がいかない。「日本人はこれから学ぶものの適否について事前にチェックをしない」ってどうなんでしょう。ぶっちゃけこれを人種で語ればどこも同じようなものなんじゃないでしょうか。どの人種も「意識ある個人」は先生や学ぶ内容はチェックしているような感じです。
読了日:03月13日 著者:内田 樹

日本の思想 (岩波新書)

日本の思想 (岩波新書)

``あらゆる哲学・宗教・学問を---相互に原理的に矛盾するものまで---「無限抱擁」してこれを精神的経歴のなかに「平和共存」させる思想的「寛容」の伝統にとって唯一の異質的なものは、まさにそうした精神的雑居性の原理的否認を要請し、世界経験の論理的および価値的な整序を内面的に強制する思想であった``p14。この一文で、なるほど確かに日本ってこうだよなぁとうなづいてしまった。日本におけるマルクス主義が変なカタチで土着してしまっているのも、この流れで考えれる。「国体」も中身がスカスカだったから無限に抱擁できたのか
読了日:03月13日 著者:丸山 真男,丸山 眞男

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル
東はルソーの「一般意志」を、政府の意思でもなく個人の意志の総和でもなく、数学的存在であると語る。そこから数学的「一般意志」をデーターベースとして捉え直し、現在変わり続けている情報環境に「一般意志」を適合(アップデート)させて「一般意志2.0」としている。この「一般意志2.0」=データーベースを可視化し、国家と社会に組み込むことで熟議民主主義の限界を超えようというのだ。。。考え方はおもしろいし、なるほどと思った所もあるけれど、できれば「一般意志2.0」への批判に対する答えを別で用意して欲しいと思う。
読了日:03月10日 著者:東 浩紀

松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦

松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦

縦横無尽に集められた本とその本たちを語るセイゴオ先生の自由さには何度も驚かされます。最近本棚をきれいに分類すると逆に本が読めなくなることに気づいて、出版社やカタチをきれいに並べずに自分が似ていると思う本同士を並べています。でもそうすると本棚にうまく本を収納できなくなり、本がはみ出してきてる。。。
読了日:03月08日 著者:松岡 正剛

科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか? 女はなぜ金持ちが好きか? (サイエンス・アイ新書)
男はなぜ若い子が好きか、女はなぜお金持ちが好きかと聞かれたら、男も女もドキっとする。それを動物行動学の「自然淘汰による進化」という立場から、男と女と人間を覗いていく。「自然淘汰」という刺激の強い見方からは、男は女の若さから良い遺伝子を残そうとし、女は男から資源を得ようとする。そんな性を決めるのは、1,外性器の性、2,性自認の性、3,性指向の性と3つの神経回路分裂時にうけた男性ホルモンなどによるという。性はとても不安定で、偶然に変化をつづけるものかもしれない。
読了日:03月07日 著者:麻生 一枝

知的速読の技術―BTRメソッドへの招待

知的速読の技術―BTRメソッドへの招待

とりあえず読書終了。しかしこれである程度速く読めるようになるのだろうか。とりあえずサッケードシートとヘルマンシートは毎日やってみよう。結果がでればまた書きます。(挫折する可能性アリ)
読了日:03月06日 著者:松田 真澄

前作の「動物化するポストモダン」よりもオタクやそれを取りまく環境についての分析が深くなっていて、「存在論的、郵便的」の粘着したデリダ分析を思いだした。透明な純文学ではなく、メタ物語なシステムが支える漫画・アニメ的リアリズムでもない、キャラクターの物語性が生まれるゲーム的リアリズムが誕生したという指摘には、うならされる。そしてキャラクター小説を環境分析という手法で読み解くこともおもしろい。物語の内と外、キャラクターとプレイヤー(読み手)を巻き込むことで、キャラクター小説は新しい可能性を持っているのかも。
読了日:03月04日 著者:東 浩紀

一箱古本市の歩きかた (光文社新書)

一箱古本市の歩きかた (光文社新書)

一箱古本市?そういうものもあるのか!という気持ちで読み始めたけれど、これがなかなか楽しそう。基本はダンボール一箱に本を詰めて売るだけ。しかしいろいろな売り方や売るもの(本以外の雑貨でもいい)を試すことができ、さらに地域を盛り上げるイベントとしても一箱古本市は機能している。フリーペーパーの世界にも踏み込んでいて、古本・ブックカフェ・その他印刷媒体の世界も味わうことができる。地元でも開催している方がいるらしく、近々行ってみるつもりです。
読了日:03月03日 著者:南陀楼 綾繁
読了日:03月03日 著者:白土 三平

殿さまの欲望と目付の野心が混ざり合って、さまざまな悲劇を生み出す。結果、憎しみに燃えたカムイが斬首になる。しかしそのすぐ後にカムイにそっくりな双子の兄貴が登場し、陰謀・暴力は錯綜していく。
読了日:03月03日 著者:白土 三平

カムイの誕生、それはなにを意味するのか?体制と身分に苦しめれれる民衆にも百姓と非人がいて、両者はお互いに反目するように制度が作られている。その中でカムイはどのような生き様をみせるのだろうか。最初から差別されて育った白い狼にも注目。
読了日:03月03日 著者:白土 三平

トンデモ本の逆襲

トンデモ本の逆襲

再読。今回もトンデモ本の数々に笑いながらも、どうしてこんな思考になるのだろうと考えさせられました。特に武田了円先生のニャントロ星人は反則やでw・・・。「トンデモ本の世界」への反論もめちゃくちゃな所があって、それも笑いを誘ってくれます。どんな内容でも突き詰めて書くことができれば本になるということは、それだけ現代日本が平和な証拠なのだろうなぁ。文人は何を書いても許されると言われるけれど、言論の自由ってスバラシイ。
読了日:03月02日 著者:

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

「科学」という言葉には、「科学」だからすべて正しいとされていることと、「科学」だから人間や自然に悪いという先入観が世の中に存在していることを感じる。もともと「科学」というのは絶対の存在になれないからこそ、体裁を保てている。しかし漠然と生きていると「科学」とは何かなんて考えないし、考える機会もない。今後の生活上で「科学」とのコミュニケーションは必要不可欠だと思う。「科学そのものにダマされない、科学を装った言説にダマされない、科学者を騙る者にダマされない」という文章に、ホントにその通りだと感じさせられた。
読了日:03月01日 著者:菊池 誠,松永 和紀,伊勢田 哲治,平川 秀幸,片瀬 久美子

遊学〈1〉 (中公文庫)

遊学〈1〉 (中公文庫)

本書を100ページほど読んだ時にふっと気づいた。もしかすると自分はこの本をまったく読めてないんじゃないかという不安に駆られたのだ。それからというものこの本に載っているすべて人物で気になった箇所を抜き出したり整理しながら読みだした。その量はノート1冊分に及び、それでようやくこの本を多少読めただろうという気分になった。これが読めるのは、何千冊もすでに読んでいて新しい見方を得ようとする天才か、結局何もわからないままセイゴオ体験が終わるか、世界を知る遊行者ぐらいだ。自分にはノートをとるしかセイゴオに挑めなかった。
読了日:03月01日 著者:松岡 正剛

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

旧日本軍が体験した戦闘や作戦などのケーススタディを通して、どのような組織的欠陥があったかを検証する。参謀の作戦目的の曖昧さや、不測の事態に対応出来なかったこと、組織的な教育が蓄積出来なかったこと、情報の貧困、狭小な人的ネットワークがタコツボ化していることなど、今の日本の組織と比べてもあまり変わっていない所がたくさんあった。とりわけ強烈なメッセージは、日本軍は環境に適応しすぎて、環境がガラリと変わってしまった場合に再適応できないという部分だ。適応しすぎて特殊化してしまい、新しいアプローチができなくなる。
読了日:03月01日 著者:戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎

複雑で単純な世界: 不確実なできごとを複雑系で予測する

複雑で単純な世界: 不確実なできごとを複雑系で予測する

複雑性や複雑性科学をいう言葉が一部でもてはやされているけど、じゃあいったい複雑性って何を意味しているのだろうか。著者は「相互作用している多数の要素の集合で生じる現象の研究」と考えている。言いかえると様々な人の行動などがお互いにどのように影響しあっていて、さらにそこからなぜ新しいことや創造が生まれてくるのだろうかという研究だ。本書ではどうして普段の生活から秩序や意思決定が発生するのかを丁寧に説明する。後半は複雑系モデルを実際のケースに当てはめて解説するけど、ちょっと勇み足なところがあってなんとも言えない。
読了日:03月01日 著者:ニール・ジョンソン

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)

トンデモ本の世界 (宝島社文庫)

トンデモ本の世界 (宝島社文庫)

再読。UFOから超科学、オカルトに予言、偽史など超マイナーな本を次々に解読(?)していく「と学会」!中学生時代にこの「トンデモ本の世界」でお腹を抱えながら読んだけれど、今回も門田泰明先生の「黒豹シリーズ」でお腹を抱えて大笑いさせていただきました。その他清家新一先生のUFO制作に度肝を抜かれたり、川尻徹先生のノストラダム解釈に人間の想像力の広大さを感じたりしましたwちなみに父親がいまだにアダムスキー型のUFOを信じていますが、そのまま最後まで信じてほしいと思っている僕は最低な息子でしょうか。
読了日:03月01日 著者:

と学会年鑑 (Rose)

と学会年鑑 (Rose)

2004年度のと学会と第12回トンデモ本大賞の発表会を収録。ハーレクイン小説てどんな物か気になっていたけれど、ラストはいつもハッピーエンドってことは物語の構造はかなり単純だったんですね・・・。ライトノベルのハーレム展開からはハーレクインのハッピーエンドを笑うことはできないけれど、シチュエーション勝負が基本にもかかわらずたくさんの本が出版されていることに驚くwその他のポイントは、サメの進化論とか「私説アルプスの少女ハイジその後」とか「歯は中心だった」とかだろうか(歯が臓器ってどういうこと?w)。
読了日:03月01日 著者:と学会

と学会年鑑BLUE

と学会年鑑BLUE

2003年度のと学会と第11回トンデモ本大賞の発表会を収録。今の日本では大気中をふわふわ飛ぶプルトニウムの絵本を笑うことはできないけれど、台湾の秋葉原のレポートやマガジンベイブスで美女が銃をぶっ放す映像とかあいわらずな内容だ。プレアデス星人とかオリオンのくノ一って一体何なんだろうw
読了日:03月01日 著者:と学会

と学会年鑑〈2002〉

と学会年鑑〈2002〉

2002年度のと学会と第10回トンデモ本大賞の発表会を収録。トンデモ本以外のトンデモグッズやトンデモビデオにもついつい笑いを誘われる。「SF作家オモロ大放談」とか「奇想天外SF兵器」とか読んでみたいと思った僕は末期患者です。本当にありがとうございます。
読了日:03月01日 著者:と学会

堤中納言物語―マンガ日本の古典 (7) 中公文庫

堤中納言物語―マンガ日本の古典 (7) 中公文庫

10〜14世紀に作られたと推測される10の短編と断章からなる「堤中納言物語」を漫画化した本。ひとつのまとまったお話として読むのではなく、1つ1つバラバラな話がまとまっただけのように感じる。虫愛づる姫君ってもしかすると元になった女性がいたんだろうか。
読了日:03月01日 著者:坂田 靖子

和泉式部日記―マンガ日本の古典 (6) 中公文庫

和泉式部日記―マンガ日本の古典 (6) 中公文庫

長保5(1003)年4月から翌正月までの和泉式部敦道親王との恋愛の成り行きを記した「和泉式部日記」を漫画化した本。駆け引きだらけでせつない恋愛を実際に体験したら、身も心も疲れ果てそう。
読了日:03月01日 著者:いがらし ゆみこ

マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)

マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)

古代エジプトから始まる数学の歴史をわかりやすいお話にしている。ピラミッドを測る、商品を測る、大砲の軌道を計算する、国力を測る、ギャンブルを計算するなど、こうして読むと数学が実際の生活から生まれた分野だということがスッキリわかる。
読了日:03月01日 著者:佐々木 ケン

大平と対決した三木と福田の抗争は最終的に大平の死去によって解消された。大平の弔い選挙の結果、自民党が圧勝したがその後継をめぐって一波乱が起きる。ここでも中曽根康弘は慎重に動き、首相候補を目されていなかった鈴木善幸がピンチヒッターとして首相になる。このころから第三世代リーダーと言われる政治家に注目が集まる。しかし田中軍団、宮沢喜一と田中六助の抗争、福田憤怒が鈴木首相の命運を左右することになる。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを

景気回復に自信を持った大平は解散総選挙に打って出たが、財政再建のための消費税創設をかかげて惨敗する(もっとも1議席減なので今から見るとまったく惨敗じゃない)。そのけじめに党が割れるというのも平和の証だった・・・と今から見返すとそう見える。大平は粘りに粘り、傷だらけになりながらもなんとか自民党総裁の地位を確保する。しかし大平の頑固さが衆議院解散につながる。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを

自民党の重鎮であり、ずっと首相候補だった福田赳夫はイマイチ自民党を掌握できず、ここぞという情況で負け続けていた。選挙の敗北で三木が降りた後横滑りでついに福田は首相になることができ、ついに宿願をとげる。しかしずっと福田のライバルだった田中とその盟友である大平が虎視眈々と福田の後を狙う。福田の2期をかけた公選で、大平と田中は有利と言われていた福田を田中の選挙攻勢で福田を破る。しかし党内少数派の大平は、党内運営に苦労することになる。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを

歴史劇画 大宰相(6) (講談社+α文庫)

歴史劇画 大宰相(6) (講談社+α文庫)

田中角栄が金権体質だと告発されて退陣に追い込まれた後、だれが後継になるかで自民党は紛糾する。その調整役として椎名副総裁がつとめ、様々な利害を検討した結果三木武夫が総理として決定する。その後ロッキード事件が発覚して自民党と田中は窮地に立たされるが、三木は「クリーン三木」を掲げて党の体制を保とうとする。それに福田と大平は三木おろしをしようとするがうまくいかず、最終的に三木の命運を決めたのは選挙での敗北だった。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを

歴史劇画 大宰相(5) (講談社+α文庫)

歴史劇画 大宰相(5) (講談社+α文庫)

政界の中でも妙に目立った人物だった田中角栄。その田中はずっと佐藤を支援してきたが、ついに独立して田中派を立ち上げる。首相の座に長く居すぎた佐藤は、回りから完全に白けられていた。その中で保守本命の福田赳夫田中角栄大平正芳三木武夫の4候補が公選にのぞんだが、決選投票で大平派と三木派の支援をうけた田中が首相になる。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを

2012年3月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター

[戦後の日本政治がコテコテの人情とタテ社会によって形作られていることを痛切に感じた。しかも将来の首相候補はあらかじめ「空気」でだいたい決まっていたのだ。ただ首相候補が首相になるのにはまだ早いとか、田中軍団の人海戦術などで番狂わせが起こることによって、首相になる順番が変わっていっただけだった。中曽根元首相は平和な時代に行政改革を進めた、という日本政治のなかでも特出な業績がある。今の日本も、政治、社会問題に対して抜本的なアクティブがなければどうしようもない。
読了日:03月01日 著者:さいとう たかを
[エッセイや討論などバラバラに書かれた原稿をひとつにまとめた評論集。中でも今村仁司との対談である「ドゥルーズ=ガタリをよむ」と、柄谷行人岩井克人との対談の「マルクス・貨幣・言語」は参考になるところが多かった。ただ気になるのは、本書で提示されたマルクスについての考察がその後提示された方向に進まなかったのではないか。スキゾフレニックな能力をパラノイアックに回路づけて生まれる差異というダイナミズムをマルクスは見ていたというならば、それを前提とした2012年から見るマルクスはどのように見ればいいのだろうか。
読了日:03月01日 著者:浅田 彰