3月分の読書メーターまとめ

3月分の読書メーターのまとめです。今月はマンガ読んでた日が多かったせいか、先月より4冊減少しました。それでも2日に一冊読んでると思えば、それなりなんでしょうか。



3月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:3931ページ


組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

「失敗学のすすめ」で有名な畑村洋太郎氏による、「技術」を伝える「技術」について述べられた本。しかし畑村氏は、「技術」は伝えるものではなく、「伝わる」ものだという。相手の立場になって、「技術」がいかに伝わるかを考えなければ、ひとりよがりな知識を相手に押し付けるだけになってしまう。伝わることで、これまで培ってきた技術にアプローチすることが簡単になるし、さらにレベルの高いことを実行するのも可能になるのだ。
読了日:03月01日 著者:畑村 洋太郎

流れる星は生きている (中公文庫)

流れる星は生きている (中公文庫)

敗戦後引揚げする、母と子の愛憎の物語。アジア各地から引揚げしてくる日本人親子の壮絶さは、戦後もそうとう過ぎてから生まれた私に語れるものがない。母の強さは、子供を生かしもするし、殺しもする。本書にでてくるほとんどの母親のそういう感情が渦巻き、ただよう。もしこのような物語をわたしが現実に体験したら、どういうことになっていただろう。藤原てい氏の観察眼は非常にすぐれていて、当時の日本人がどういうものだったのかをも描き出す。その限りにおいては、今も昔もたいして変わりはないようだ。
読了日:03月01日 著者:藤原 てい

第2回チベット旅行記 (講談社学術文庫)

第2回チベット旅行記 (講談社学術文庫)

明治30年から36年までチベットに潜入した、河口慧海師によるチベット再訪の記録。大正2年から4年にわたってチベットに滞在し、様々な仏典を集めて日本に帰国を果たす。前半はおおまかな旅行行程をしるし、後半の雪山歌旅行からは、詳細な旅行記となっている。第一回ほど危険な旅ではなかったせいか、緊迫感はあまりないが依然としておもしろい。それにしても、わずか10数年でチベットの文化風俗が変わってしまったのを読むと、すこし寂しくなるのは自分だけだろうか。
読了日:03月02日 著者:河口 慧海

職業としての学問 (岩波文庫)

職業としての学問 (岩波文庫)

本書は、社会学者で有名なマックス・ウェーバーが、青年たちに学問を続けるとはどういうことか、と講義した記録だ。ウェーバーは、学問を専攻するのであれば一途に行い、学問を専攻しなければ、さっさと日常に帰っていかねばならないと説いた。さらに、教師を指導者に見立てて行動や思想をもとめる風潮に苦言を呈する。しかし時代はウェーバーが言ったようにはならなかった。その後、ドイツはひとりのリーダーに歴史を委ねてしまったのだから。
読了日:03月03日 著者:マックス ウェーバー

フランス革命についての省察ほか〈1〉 (中公クラシックス)

フランス革命についての省察ほか〈1〉 (中公クラシックス)

フランス革命についての省察ほか〈1〉 (中公クラシックス)
イギリスの政治家であった、エドマンド・バークによるフランス革命に対する批評集だ。彼はフランス革命が民衆の自由どころか、国民議会議員による専制によってなりたっていることを看破する。さらに本書は保守主義の原典とされている。保守主義を定義するために、本書の内容が抽象化されることもよくある。しかし、いくつかの部分では、明らかにイギリスの特殊な伝統に基づいている。少なくとも本書が、イギリスの守るべき基本的な伝統を代表しているのを疑うことができない。現代イギリスは伝統の延長にありながらも、違う様相を呈してはいるが。
読了日:03月05日 著者:バーク

フランス革命についての省察ほか〈2〉 (中公クラシックス)

フランス革命についての省察ほか〈2〉 (中公クラシックス)

本書は、「フランス革命についての省察」の続きと、バークが若くして書いた「自然社会の擁護」を収録したものだ。「フランス革命〜」ではさらに革命政府の構造の分析を推し進める。しかし、フランス革命に対しての政治的プロパガンダ色がかなり強くでていて、バーク思想に接近しきれないものがある。その点「自然社会の擁護」では、バークの保守思想だけではなく、彼のみずみずしい才能を感じさせる文章となっている。松岡正剛氏もバークについて興味深いことを述べられているので、気になる方は千夜千冊でお確かめ下さい。
読了日:03月07日 著者:バーク

原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)

原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―(新潮新書)

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―(新潮新書)

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)
陰謀とはやっかいなものだ。それはしっかりとした資料にもとずいて分析できないからだ。本書はCIA文章から、CIAと正力松太郎の関係に焦点をあてたものだ。正力は、原発を自身が総理大臣になるためのカードとして使いつつ、さらにマイクロ波通信網を手中におさめるべく暗躍する。同時に、1955年の民主党自由党の合併についての裏話ともなっている。だがどうあがいても、正力に総理になる目はなかっただろう。こういうことを知るために、日本でももっといろいろな書類が残ればいいのだが。
読了日:03月09日 著者:有馬 哲夫

次世代ウェブ  グーグルの次のモデル (光文社新書)

次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)

本書で語られる次世代ウェブとは、web2.0のことだ。少し前に流行った言葉だけど、現在はweb2.0ではもうからないということで、言葉自体も廃れてしまっている。だけど、「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」は、本書で語られている延長にあるように思う(フリーはまだよんでない)。ロングテールや少数をターゲットとするビジネスは、大企業より個人や中小企業が有利なのは変わっていない。後はいかにお金に変えるかだが、これは今みんなが悩んでいる。本書はそういう企業を多く載せているので、未だに考えさせられる部分がある。
読了日:03月10日 著者:佐々木 俊尚

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)

アーレントは人間として成り立つためには、「労働」、「仕事」、「活動」が基本条件だと説く。ここでいう「労働」は生存に必要な行為であり、「仕事」は人工的な世界を構築する営みのことだ。そして「活動」は、自分と同じように思考している他の人格に対する営みだ。この「活動」は、「複数性」という多様な他者によるパースペクティブを前提にしている。こういう「複数性」を保てずに思考や対話を停止させると、全体主義におちいってしまうのだ。そのためには「観想的生活」をしつつも「活動」を通して、他者との関わりを保たなければならない。
読了日:03月13日 著者:仲正 昌樹

構造と力―記号論を超えて

構造と力―記号論を超えて

本書は80年代におけるニューアカデミズムブームの火付け役にして、その中心を担った書だ。「構造と力」がいろいろと言われているのは知っていたが、読んでみて自分なりに納得がいった。浅田彰は疑いなく明晰だったんだ。今後も本書は日本人読者に受け入れられ、批判され続けるのだろう。それだけでも本書はある到達点だった証であり、乗り越えられていく宿命をもつのだ。とりあえず自分は本書を、現代思想入門の一つの鍵にするだろう。構造主義ポスト構造主義、そして現代ニッポンかくありきや。
読了日:03月15日 著者:浅田 彰

社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)

社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)

社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)
この本をひきこもりを経験した、もしくはひきこもっている人(か、その親たち)に読んでほしい・・・と言うのはカンタンだが、それができれば苦労しない。今ひきこもっている人には、本書をよんで事態を見つめることはなにより恐ろしいだろう。ひきこもりの方がこの本を読めるなら、あなたはすでに一歩ふみだしている。あとはまわりにいる人たちと共にやっていけばいい。You are (not) alone. は関係性における一辺の真実なのだから。
読了日:03月16日 著者:斎藤 環
読了日:03月18日 著者:山鳥 重

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

著者はブログ界で有名な小飼弾だ。内容もやはり小飼弾である。小飼氏は日本でもっとも本を読む一人だけど、その読書術はかなり独特で、彼の読書法を完全にまねることはかなり難しいだろう。もちろん全部をまねするのではなく、自分にあう部分をコピーすればいいのだ。本書でもっとも衝撃のある部分は、やはり「一時間で十冊読む超読書法」のところだろう。目次を片っぱしから読んで、興味のある章なりページを読んでいくのだ。これはノンフィクション限定だけど、こういう読み方もあるものだと感心してしまう。「最強の100冊+1」も参考になる。
読了日:03月21日 著者:小飼 弾

悪人正機 (新潮文庫)

悪人正機 (新潮文庫)

本書は悪人正機というタイトルだけど、中は吉本隆明の人生論という感じに仕上がっている。吉本氏の言葉は下手な自己啓発本なんかよりはるかに胸に響いてくる。吉本隆明という人物は、やっぱり一つの枠にとらわれないはみ出た存在なんだなということが伝わってくる。現代日本において必要な言葉は、ありきたりな人生訓じゃなく、迷える人達に「ホントはこういうことじゃないの?」と言うことだと思う。吉本氏はアカデミックな思想家ではないかもしれないけれど、こういうことをいってくれるお年寄りは、今の世の中マジでいない。
読了日:03月25日 著者:吉本 隆明,糸井 重里

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

著者の城繁幸氏は、年功序列体制と、それによる固定化された労働体制をこれでもかと批判する。本書で描かれている人達は、就職氷河期で就職できなかった就職難民を中心に描いているけれど、同じ世代で企業に勤めている人達もさまざまな苦労に直面している。今の日本で安全な職場なんて存在しないのだ。たしかに若者は我慢がたりないのかもしれないけれど、なにより変わろうとしないのは既得権者たちだろう。さらに閉塞感に包まれている現代の状況は、本書が出版されてから4年たっても日本は変わらないどころか悪化していることを示している
読了日:03月29日 著者:城 繁幸
読了日:03月30日 著者:城 繁幸

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